のとんち奥能登

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〜奥能登の古民家に移り住んで〜

石川県鳳珠郡能登町在住
抒情書家 室谷 一柊(いっしゅう)・朱琴(しゅきん)

抒情書家。築250年の芽葺民家を住まいとアトリエにした京都美山での21年の暮らしに別れを告げ、能登にやってきた。美山時代の生活と芸術は、「墨模様ふたりごと」(京都新聞出版センター)に著されている。近年では毎年、金沢しいのき迎賓館で個展を行っている。

■ いやしの景色(朱琴)

九年前に京都を出るときは、床に雑巾がけをして「さよなら・・・」と言って出てきたんですけど・・・。ここに来て、穏やかに移ろう四季の景色が心をいやしてくれました。先日、輪島の旅館にそれをテーマにした作品を納めたんですが、わたしたちのような人生に失敗した者が死なないで希望を持ってもらえるような作品が生み出せたらいいかな〜って。

■ 人との距離感(一柊)

ヨーロッパの若い人たちが能登に来て「建物と田んぼ、道と川と、そして春、さほど高くない山並みが向こうに見える。自分たちの飲食する空間とその他のものが全て良い距離感の中にある」と言います。彼らがその距離感を見れるというのは流石!奥能登の風景は「遠すぎず、近すぎず」ということです。

■ 冬は寒いけれど・・・(朱琴・一柊)

冬は寒いかと言われると、根性で乗り越えるしかない!冷蔵庫は物を凍らせないためにあるんやね・・・。その分夏は涼しくて、クーラーも要らないし、扇風機も要らない。ウチワがあるけど、ウチワも使うことがないので助かります。
今、ここは固定資産税相当額で借りてるんです。入居当時で築110年だったから、年間1万1千円です。ヨーロッパのお客さんたちがそれを聞いて、ビックリやらシャックリやらで羨ましがっています。

■ 大切にしている言葉(一柊)

  なにがある
  なにもない
  なにもない
  すべてある
  ここがのとのいいところ
人の原点のようなものがここにはある。
ウグイスも鳴くし、ホタルも飛ぶ・・・
見知らぬ地に根を張ろうとするわたしたちを集落の人たちは見守ってくれた。
本当に能登の地に生かされて、在郷(ざいご)の情に生かされてきた。